
ストーカーの特徴
ストーカーを知るために、その対象、対象との関係性、動機、精神病理性の有無から5つに分類してご説明します。
オーストラリアでは、ストーカー加害者を、『STALKING RISK PROFILE』という手法で、5つに分類し、国内の精神科医もそのリスク評価手法によって、ストーカー加害者を、その対象、対象との関係性、動機、精神病理性の有無から5つに分類しています。
ストーカーの特徴について5つの型
5つの型とは、『拒絶型』『憎悪型』『親しくなりたい型』『相手にされない求愛型』『略奪型』になります。なお、これらの類型には病的な妄想や強いこだわりがみられるケースもあり、ある精神科医が云うには、その場合、統合失調症、妄想性障害、自閉症スペクトラム症、ADHD、双極性障害、知的障害などの精神疾患を合併している場合もあるとのことです。
また、それと併せて、加害者を治療するその精神科医の立場から、ストーカー行為の再発を防止するには罰則でなく医療的支援が重要になるとも述べています。しかし、見方を変えると治療無くしてストーカー行為を抑えることは難しいと捉えることもできます。
被害に遭っていらっしゃる方には、ストーカーについての理解を深めることによって、単に加害者から逃れるのではなく、ストーカー被害に対して正しく対処することによって平穏な生活を取り戻していただきたいと思っております。
ここでは、先に述べた5つの型のストーカーの特徴について知っていただくためそれぞれについて記すことにしました。
1.拒絶型

こちらは、もともと、夫婦関係にある場合やカップルだったものがその関係性の崩壊をきっかけにして発生すると言われています。
加害者側の動機は関係性の修復を試みることが大半のようですが、拒絶されたことに対して復讐を行うことがあります。
実際には、関係性を修復したい思いと復讐心が交錯して葛藤しています。加害者は、ストーカー行為を行うことで被害者を身近に感じることが出来たり、加害者自らが傷ついた自尊心が慰められる感覚を得ることが出来るため、行為が継続します。
2.憎悪型

加害者自身が、自分がひどく貶められている、酷い扱いを受けている被害者であると思いこむことが原因でストーカー行為を行います。
しかし、実際には被害者は、加害者の事を認識していないケースもあります。
そして、加害者はその思い込みからますます被害妄想的思考に捕われ、相手に仕返しをするためストーカー行為を行います。被害者が恐怖感を抱くほど支配欲や征服欲が加害者にとって快感となるため、行為が継続します。
3.親しくなりたい型

周囲に相談できる相手がいなかったり、孤独感にさいなまれていることで発生します。加害者は被害者と親しくなりたい欲求からストーカー行為を行う場合や、既に被害者との間に何か特別な関係があるという妄想に基づきストーカー行為を行います。
加害者は被害者とそのストーカー行為によって、被害者と親密な関係になっているという満足感を得るため、行為が継続します。
4.相手にされない求愛型

加害者の孤独感の解消や性欲の発散を背景に発生します。先に述べた『親しくなりたい型』と異なり、必ずしも恋愛感情を抱いている必要は無く、その目的は会うことや性的関係を得ることにあります。そのため、ストーカー行為は短期間で終わると言われておりますが、その対象に分別が無かったり、被害者の苦痛に無関心で会ったりするため、被害者は危険に晒されます。
5.略奪型

常軌を逸した性癖と興味を背景として発生します。通常は加害者が男性、被害者は、その対象となった女性ということが多いです。
ストーカー行為は性的満足を得るために行うことや、性的暴行を加える前の情報収集として行われることもあります。
警戒心の無い状態の被害者を対象とすることで支配感や征服感といった満足感を加害者は得ることから、その行為は継続します。
ストーカーの心理について
5つにストーカーの特徴を分類しましたが、それら共通する特徴として、被害者から拒絶されているにもかかわらず加害者は何とか繋がりを維持しようと繰り返しアプローチを継続することです。
しかし、被害者は加害者に繰り返しアプローチされるたびに嫌悪感を抱き、やがて、不安や恐怖感をいだくことになります。
そのため、被害者は加害者から逃れたい一心でますます加害者から逃れようとします。
そうなると、加害者は被害者との関係修復のため、手段の選ばなくなり、ストーカー行為は悪質なものに変わっていきます。
加害者の言い分としては、
- 急に別れを告げるなんて酷すぎる。一方的で許せないので、話し合いで解決したい。
- 相手(被害者)と両想いのはずだが、最近は会ってくれないばかりか、相手のために用意したプレゼントさえも受け取ってもらえない。どうしてなんだろう。
- 相手が無視するから何度も繰り返し連絡しているだけだ。自分はストーカーではない。
- 相手は自分に気のあるはず。確かめないと・・・。
- こんなに相手に尽くしてるのに、無視するなんて許せない。
等々です。
日常的に、ずっと上記のような気持ちを強く持っている加害者もいれば、頭の中ではすべきでないとわかっているのに、あるきっかけで感情的になりやってしまう方もいるようです。
加害者は執念深い愛情や憎しみ、支配欲や嫉妬心など、上記の①から⑤のように様々な感情を抱いていますが、この気持ちから被害者は逃れ続けると衝動的なストーカー行為に及ぶようです。